林業におけるすべての作業は、伐倒(ばっとう)作業から始まります。
伐倒とは、立っている木を計画通りの方向へ安全に倒す作業のこと。
一見すると「木を切り倒すだけ」のように思われがちですが、実際は高度な判断力と技術が求められる、林業の要となる工程です。
伐倒作業の役割とは
伐倒作業の目的は、単に木を倒すことではありません。
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周囲の木を傷つけない
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作業者の安全を確保する
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次工程(集材・搬出)をスムーズにする
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森林環境への影響を最小限に抑える
つまり伐倒は、
森・人・作業工程すべてを考えた計画作業なのです。
チェーンソー伐倒の基本技術
現在も多くの現場で使われているのが、チェーンソーによる伐倒です。
使用前の重要確認
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チェーンの張り・刃の状態
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燃料・オイルの確認
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周囲の地形・傾斜
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風向き・風の強さ
これらを確認せずに作業を始めることはありません⚠️
受け口と追い口 ― 伐倒の核心
伐倒では、受け口(切り欠き)と追い口が極めて重要です。
受け口
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木を倒したい方向に作る切り欠き
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倒れる方向を決定づける
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角度・深さ・位置が精度を左右
追い口
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木を押し出すための切断
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ヒンジ(つる)を残すことで方向制御
このヒンジの残し方ひとつで、
倒れる方向・スピード・安全性が変わります。
自然条件を読む力
伐倒作業では、機械操作以上に自然を読む力が重要です。
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木の傾き(前傾・後傾)
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樹種による重心の違い
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風の強さ・突風の可能性
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地面の滑りやすさ
特に山林では、
「思った通りに倒れない」
という事態を常に想定して作業します。
重機を用いた伐倒作業
近年では、**重機(フェラーバンチャ・ハーベスタなど)**を用いた伐倒も増えています。
重機伐倒の特徴
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作業者がキャビン内にいるため安全性が高い
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切断から倒木まで一連の作業が可能
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大径木や大量伐採に向いている
一方で、
といった高度な判断も必要になります。
⚠️ 伐倒作業の危険と対策
伐倒作業は、林業の中でも特に危険度が高い作業です。
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予期せぬ方向への倒木
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枝の跳ね返り
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根返り・地盤崩れ
そのため、
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退避ルートの確保
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声掛け・合図の徹底
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単独作業を避ける
といった基本が、命を守ります
まとめ
伐倒作業は、
すべてが求められる、林業の基礎であり核心です。
一本の木を倒すまでに、
多くの計算と経験が詰まっている
それが伐倒作業なのです